歩行異常とは
歩行異常があると行動に制限を生じ、日常生活の活動性が低下するので行動範囲が狭まり、転倒、骨折の危険性が高まる。最悪の場合には骨折から寝たきり状態になり、要介護に陥ってしまう可能性がある。歩行能能力の維持、改善は自律性の維持のためうえでも異常に重要である。
高齢者の歩行異常の主な原因として、躯体や下肢の関節、神経、筋の障害による疼痛、脊柱や下肢の変形および下肢の筋力低下や麻痺による歩行機能の低下などがある。
原因疾患としては、脊柱の疾患による神経根症、脊髄症などのほかに、臀部、下肢の疼痛をきたす疾患がある。梨状筋症候群、筋・筋膜性の疼痛、変形性股関節症、大腿骨頸部骨折、変形性膝関節症(膝OA)、関節リウマチ(RA)などが主な原因である。
歩行機能は、転倒に関する身体機能とも関連が深く、その評価に関する測定項目には歩行速度や膝伸展筋力の測定、歩行分析のほかに、握力、片足起立時間、手伸ばし試験などもある。腰下肢への鍼灸治療によって歩行機能が改善する。
転倒に関する身体機能測定の項目
- 握力
- WBI(体重支持指数)
- 膝伸展トルク:座位での膝90度屈曲位で膝伸展筋力
- 歩行速度:10m最大歩行速度
- 片足起立時間:開眼時と閉眼時に測定
- TUGT:座位➡立ち上がり➡3m歩行➡方向転換➡3m歩行して戻る➡座位
- 歩行分析:歩幅、歩隔など
- 手伸ばし試験:立位で前方に手を水平に伸ばした到着距離