顔面麻痺の東洋医学の考え方
顔面麻痺について東洋医学では、口、目がゆがんで閉じることができないことから口眼歪斜という。霊枢の経脈編、経筋編などにも記載があり、陽明系との関係が指摘されている。
分類
風寒による顔面麻痺:顔面の脈絡が空虚になっているものに、この虚に乗じて風寒の邪が侵襲し、そのために経気のめぐりに障害が生じ経筋の栄養状態が悪くなると弛緩して顔面麻痺がおこる。
- 病が主として少陽に波及しているもの(少陽タイプ)
- 病が主として陽明に波及しているもの(陽明タイプ)
- 長期化して肝血虚に進行しているもの(肝血虚タイプ)
鑑別
- 少陽タイプは耳後や耳下の疼痛、聴覚過敏をともなう
- 陽明タイプは麻痺側の舌前2/3の味覚減少または消失をともなう
- 肝血虚は患側筋の拘縮あるいは攣縮がおこる
風寒による顔面麻痺
病態
風寒の邪が虚に乗じて陽明、少陽の脈絡に侵襲し、経気のめぐり、経筋の栄養状態が悪くなると顔面麻痺がおこる。
症状・所見
主要症状:眼は広く開き、閉じることが不可能または不十分。麻痺側の口角の口唇間は開き、下った状態になる。患側の口角は健側に引かれ、麻痺側の鼻唇構は消失または浅くなる。
前額のしわがなくなり、しわを作ることも不可能。口笛を吹くことが不可能。食べると麻痺側の口中に食物がたまる。
舌脈所見:
舌苔薄白、脈浮緊または浮緩
随伴症状:
少陽タイプは耳後や耳下の疼痛、聴覚過敏を伴う。
肝血虚タイプは患側筋の拘縮あるいは攣縮がおこる
治療方針
風邪の除去をはかり、特に顔面部の経気の巡りをよくして、経筋の栄養状態の改善をはかる。また誘導穴を取穴し、その作用の増強をはかる。
主として手足陽明、手足少陽経穴を取穴し、その虚実にもとづいて補寫を決定し、必要に応じてまたは鍼または灸を用いる。
処方穴
地倉、頬車、陽白、四白、攅竹
誘導穴
風池、外関、合谷、足三里、三陰交、太衝