高齢者の姿勢異常の原因には、疼痛や脊柱の変形などがある。
疼痛による姿勢異常
姿勢異常は、筋膜性の疼痛、変形性脊椎症、椎間板症、脊椎の骨粗しょう症、肋間神経痛、ヘルペス、帯状疱疹などの体幹部の疼痛が原因で起こりやすい。
体感の疼痛を避けるために、腰や背中の前屈、側屈姿勢になることによる円背や側弯症が起こる。
異常な姿勢が続くと背腰部、臀部、下肢の筋緊張が起こり、筋の疼痛が起こり、さらに悪化し悪循環におちいる。
脊柱の変形による姿勢異常
脊柱変形とは、脊柱のS字状の湾曲異常をきたし、前弯や後弯の増強・減少、あるいは側方湾曲をおこす。湾曲の方向により、前湾症、後湾症の分かれる。側弯症は凸側への椎骨の回旋を伴う。
円背(脊柱後弯)とは
胸椎後弯の増強したもの。先天性のもの、くる病性、脊椎骨粗鬆、変形性脊椎症によるものや靭帯、筋などの脊柱支持組織の機能不全によるものなどがある。
円背の原因として、胸椎椎体の圧迫骨折の際には強い疼痛がでるが、骨折時の疼痛が消えた後も、立位でいると背部の重だるい鈍痛や圧痛を訴えるようになる。この場合は背筋の疲労により疼痛や圧痛が出現することが多い。
また、変形性脊椎症が合併すると、椎間関節の変形・不安定性に基づく局所痛や放散痛、椎間孔狭小による神経根刺激による放散痛や知覚異常、脊髄刺激による脊髄症状としての疼痛、知覚異常、運動障害、膀胱、直腸障害を伴うことがある。